当社は、企業理念として『ひとりのかけがえのない命のために、ステラファーマは世界の医療に新たな光を照らします。』を掲げ、「ひとりのかけがえのない命のために」それぞれの使命を実行することを行動指針の基盤とし、「世界の医療に新しい光を照らす」ことを経営目標の策定方針としております。
当社は、この企業理念に基づき、がん患者に対する新たな治療の選択肢としてBNCTを実用化するため、創業以来、BNCT用ホウ素薬剤の研究及び開発に取り組んでまいりました。
(1)事業の特徴 ① BNCTの医療技術 BNCTとは、ホウ素の安定同位体であるB-10(天然ホウ素に約20%含まれる)とエネルギーの小さな熱中性子の核分裂反応を利用して、がん細胞を選択的に破壊する放射線治療の一つの手法であります。
ホウ素の安定同位体であるB-10の原子核はエネルギーの低い低速の中性子(熱中性子)をよく吸収し、直ちにヘリウム原子核(4He核(α粒子))とリチウム原子核(7Li核)に分裂します。
これら原子核は細胞を破壊する能力が非常に大きい一方で、影響を及ぼす範囲が4~9ミクロン(μm)と極めて短く、また、熱中性子自体の細胞破壊能力は小さいため、B-10を含む物質が、がん細胞に選択的に集積し、そこに熱中性子が照射されると、そのがん細胞は選択的に破壊されます。
この原理に基づいて考案された医療技術がBNCTであります。BNCTは、その特徴として、『がん細胞を選択的に破壊』することができる治療法であることから、がん細胞と入り組む正常組織への影響が少なく、術後のQOL(Quality Of Life/生活の質)も従来の治療に比べて良好であることが期待されます。
[BNCTの治療イメージ] ② ビジネスモデルについて 当社は、2020年3月に切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌※1を効能・効果として、ステボロニン®の医薬品製造販売承認を取得しました。
それに伴い、既に加速器を設置している総合南東北病院、大阪医科薬科大学病院の2つの医療施設においてBNCTによる治療が実施されており、医薬品卸売業者を介した自販モデルによる収益化を実現しております。
今後も加速器メーカーとの共同でステボロニン®の適応拡大に向けた研究開発及び臨床試験を継続していくと同時に、当社の製品は加速器メーカーとのコンビネーションプロダクトをベースとしていることから、BNCTの認知度向上と加速器の普及に向けた事業展開も並行的に進めることで、収益拡大を実現していくビジネスモデルであります。
(2)開発品の特徴 ① 開発品の概要について 当社が、開発、製造及び販売するステボロニン®(開発品名:SPM-011)は、厚生労働省の実施する先駆け審査指定制度※2の対象品目に指定されており、2020年3月にBNCT用ホウ素薬剤として世界初となる医薬品製造販売承認を取得しております。
BNCTは、その性質上、中性子の発生装置となる医療機器と医薬品を組み合わせた治療法であり、患部に高い選択性で集積し、かつ効果的な反応が得られるホウ素薬剤が必要となります。
[ステボロニン®点滴静注バッグ 9000 mg/300 mL] ② 開発品の作用機序について 天然ホウ素には、中性子数の異なるホウ素10(B-10)とホウ素11(B-11)の2種類が存在し、B-10は約20%の割合で存在しています。
BNCTにおいて核分裂反応を起こすホウ素はB-10のみであるため、効果的なホウ素薬剤とするためには、B-10を高純度に濃縮し、より多く含有する製剤を作る必要があります。当社の開発品であるステボロニン®は、この高純度(99%以上)B-10を含むボロファラン(10B)※3を原薬として製造しております。
ボロファラン(10B)は、必須アミノ酸であるフェニルアラニン※4又はチロシン※5と構造が似ているため、がん細胞特有のアミノ酸トランスポーターであるLAT-1※6を介してアミノ酸要求性の高いがん細胞に取り込まれます。
これにより、がん細胞に選択的にB-10が集積し、かつ中性子線を照射した際により大きな効果を得ることが可能となります。
[ボロファラン(10B)の構造式とがん細胞への取込みの作用機序] ③ 開発品の競争優位性について B-10を高純度(99%以上)に濃縮する技術は、ステラケミファ株式会社(以下、「ステラケミファ」という。)が国内で唯一(世界でも2社のみ)保有しているものと認識しております。
当社は、高純度(99%以上)まで濃縮されたB-10を原料として、原薬ボロファラン(10B)を製造し、さらにステボロニン®に製剤加工しております。原料についてはステラケミファとの間で独占期間を定めた取引基本契約を締結し、安定的に原料供給を受ける調達体制をとっております。
また製剤処方にかかる特許権を複数取得しており、今後も周辺特許の申請を積極的に行っていく方針であります。
ステボロニン®は臨床研究において従来使用されていたフルクトース製剤に比べ安定性に優れ、さらに36ヶ月という長期の品質有効期間を保ち、治療毎に製剤を調製する必要もなく、また「医薬品の製造管理及び品質管理の基準(GMPgrade)」に適合した製剤でもあります。
この特徴に加え、当社における長年の研究開発期間と相当程度の投資は後発事業者にとっては大きな参入障壁になると考えております。
また当社の開発品であるBNCT用ホウ素薬剤「SPM-011」は、厚生労働省の実施する先駆け審査指定制度の対象品目に指定されており、2020年3月にステボロニン®として医薬品製造販売承認を取得したことは、後発事業者が同制度の対象品目に指定されるには治療薬の画期性が要件として求められるため参入障壁になると考えられることから、当社の競争優位性は一定程度維持できると認識しております。
この競争優位性を維持しながら、ステボロニン®を「世界初、日本発」の医薬品として、治療を待つ患者様に一日でも早くお届けできることを目標として事業を推進してまいります。
[ステボロニン®の製造フロー] (3)事業戦略 当社は、BNCTの医療技術を軸に加速器メーカーと共同でステボロニン®の適応拡大に向けた研究開発及び臨床試験を実施し、開発パイプラインの拡充を進めてまいります。
また、ステボロニン®の医薬品製造販売承認を取得したことに伴い、国内ではBNCTによる医療技術や治療実績の認知度向上と加速器の普及を目指して事業を展開してまいります。
認知度の向上に向けては医療施設や大学等の研究機関への訪問活動を通じて、ステボロニン®の有効性や安全性に係る医療情報の提供を充実させていくとともに、学会や講演会を通じて、より効果的な事業活動を展開してまいります。
海外では日本で承認を得た疾患を対象に、米国、欧州及びアジアを中心に承認取得を目指すとともに、各国のレギュレーションに通じた製薬企業等との連携によるアライアンスモデルを計画しており、パートナー企業の選定に取り組んでまいります。
そして、特に成長が見込まれる海外のオンコロジー領域におけるステボロニン®の適応拡大は当社における重要な成長戦略と位置づけ、経営資源の重点配分を行ってまいります。当社は医薬品開発事業のみの単一セグメントであり、事業の系統図は下記のとおりです。
(4)開発戦略 当社では、研究開発拠点であるさかい創薬研究センターでステボロニン®の適応拡大等に向けた研究開発に取り組んでおります。またBNCTの拡張戦略として、[18F]-FBPA-PETに使用するPET薬剤の開発についても加速器メーカーと共同で取り組んでおります。
[18F]-FBPA-PETは核医学検査の一つで、BNCTの有効成分であるボロファラン(10B)をPET核種である18Fで標識化することで、腫瘍の位置や範囲を画像として得ることができるだけでなく、ホウ素薬剤が腫瘍にどの程度取り込まれているかを検知することでBNCTの有効性をあらかじめ確認することが期待できます。
今後、BNCTの適応疾患の拡大を図るうえで、[18F]-FBPA-PETの開発は重要な役割を担っております。<語句説明> ※1「頭頸部癌」 頭頸部とは、脳の下側の顔面から鎖骨までの部分を指し、頭頸部癌とは、この範囲に含まれる鼻、口、のど、上あご、下あご、耳等にできるがんのことです。
頭頸部癌は全てのがんの約5%程度と考えられており、がんが発生する部位の種類が多く、発生原因、治療法、予後が異なることが特徴とされています。頭頸部には人間が生きるうえで必要な器官が集中しており、その機能を温存できる治療法の確立が求められています。
※2「先駆け審査指定制度」 一定の要件を満たす新薬等について、厚生労働省が、開発の比較的早期の段階から薬事承認に係る相談・審査 等において優先的な取扱いを行う制度です。
具体的には、「①治療薬の画期性、②対象疾患の重篤性、③対象疾 患にかかる極めて高い有効性、④世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思」の4つの要件を満たす画期的 な新薬等を開発段階で対象品目に指定し、新たに整備された相談の枠組みを優先的に適用し、かつ優先審査を適 用することにより、審査期間を6ヶ月(通常は12ヶ月)まで短縮することを目指すものとされています。
なお、先駆け審査指定制度においては、対象品目の指定時に予定される効能又は効果も指定されることから、 製造販売承認取得後に適応疾患を拡大する際には同制度の対象外となります。
当社は、再発悪性神経膠腫と切除 不能な局所再発頭頸部癌並びに局所進行頭頸部癌(非扁平上皮癌)について、対象品目の指定を受けています。※3「ボロファラン(10B)」 「4-ボロノ-L-フェニルアラニン(L-BPA)」と呼ばれるホウ素化合物であり、分子内にホウ素原子を一つ持っています。
※4「フェニルアラニン」 タンパク質を構成するアミノ酸で、食品中のタンパク質に多く含まれている必須アミノ酸の一つです。※5「チロシン」 タンパク質を構成するアミノ酸で、動物の体内ではフェニルアラニンから合成されます。
※6「LAT-1」 L-type amino acid transporter-1(L型アミノ酸トランスポーター1)の略称です。細胞の増殖等に必要なアミノ酸の輸送に関わるタンパク質をアミノ酸トランスポーターと呼びます。
アミノ酸トランスポーターは正常細胞にも存在しますが、LAT-1は多くのがん細胞に選択的かつ高発現するアミノ酸トランスポーターであり、フェニルアラニンやチロシンを輸送します。
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※ EDINET(金融庁 電子開示システム)の有価証券報告書をもとに作成
19.09/ 100
※ EDINET(金融庁 電子開示システム)の有価証券報告書・四半期報告書をもとに作成
| 指標 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | 2026年 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 損益 | ||||||
| 売上高企業の本業での収入の合計 | 2億 | 1億 ↓51.4% | 2億 ↑128.8% | 3億 ↑17.6% | 10億 ↑256.6% | 3億 ↓66.4% |
| 営業利益本業で稼いだ利益。売上高から原価と販管費を引いたもの | -7億 | -7億 ↓9.0% | -8億 ↓8.7% | -8億 ↑5.8% | -9,025万 ↑88.1% | -7億 ↓729.9% |
| 経常利益営業利益に金融収支等を加えた、通常の事業活動による利益 | -7億 | -8億 ↓16.4% | -8億 ↓1.6% | -8億 ↑2.0% | -1億 ↑81.9% | -8億 ↓464.3% |
| 純利益税金や特別損益を差し引いた最終的な利益。株主に帰属する利益 | -7億 | -8億 ↓16.5% | -8億 ↓1.4% | -8億 ↑1.9% | -1億 ↑81.6% | -8億 ↓454.6% |
| 収益性 | ||||||
| EPS1株あたり純利益。純利益÷発行済株式数で算出。高いほど収益力が高い | -32.9円 | -27.3円 ↑16.9% | -27.0円 ↑1.4% | -24.7円 ↑8.6% | -4.2円 ↑82.9% | -22.9円 ↓443.8% |
| ROE自己資本利益率。株主の出資金でどれだけ利益を生んだかの指標。8%以上が目安 | -285.74% | -24.93% ↑91.3% | -28.40% ↓13.9% | -32.22% ↓13.5% | -4.39% ↑86.4% | -32.18% ↓633.0% |
| ROA総資産利益率。全資産を使ってどれだけ利益を出したかの指標。5%以上が目安 | -32.18% | -16.27% ↑49.4% | -17.99% ↓10.6% | -19.99% ↓11.1% | -2.60% ↑87.0% | -17.41% ↓569.6% |
| 営業利益率売上高に対する営業利益の割合。本業の収益力を示し、10%以上なら優良 | -330.42% | -741.19% ↓124.3% | -352.20% ↑52.5% | -282.12% ↑19.9% | -9.39% ↑96.7% | -231.60% ↓2366.5% |
| キャッシュフロー | ||||||
| 営業CF本業から実際に入ってきた現金。プラスが大きいほど稼ぐ力が強い | -8億 | -11億 ↓39.9% | -8億 ↑23.4% | -9億 ↓5.9% | 1億 ↑116.0% | -3億 ↓338.2% |
| 投資CF設備投資や企業買収等に使った現金。成長企業は通常マイナスが大きい | -2,286万 | -4億 ↓1433.2% | -2,993万 ↑91.5% | -901万 ↑69.9% | 3億 ↑3291.7% | -1,567万 ↓105.4% |
| 財務CF借入・返済・配当金支払い等による現金の動き | -3億 | 38億 ↑1252.0% | 3億 ↓92.4% | 2億 ↓21.7% | 7億 ↑215.9% | -3,328万 ↓104.6% |
| フリーCF企業が自由に使えるお金。営業CF+投資CFで算出。配当や成長投資の原資 | -8億 | -14億 ↓79.9% | -9億 ↑40.1% | -9億 ↓3.3% | 4億 ↑148.3% | -4億 ↓181.8% |
| 財務 | ||||||
| 総資産企業が保有する全ての資産(現金・設備・投資等)の合計 | 20億 | 47億 ↑130.3% | 43億 ↓8.3% | 38億 ↓11.7% | 54億 ↑41.8% | 45億 ↓17.2% |
| 自己資本返済不要な資本。株主からの出資金と利益の蓄積で構成される | 2億 | 31億 ↑1234.8% | 27億 ↓11.0% | 24億 ↓13.6% | 32億 ↑35.3% | 24億 ↓24.3% |
| 自己資本比率総資産に占める自己資本の割合。高いほど財務が安定。40%以上が目安 | 11.26% | 65.26% ↑479.6% | 63.35% ↓2.9% | 62.03% ↓2.1% | 59.21% ↓4.5% | 54.08% ↓8.7% |
| 配当 | ||||||
| 一株配当1株あたりの年間配当金額。株主への利益還元額 | - | - | - | - | - | - |
| 配当性向純利益のうち配当に回す割合。30〜50%が健全な目安。高すぎると持続性に懸念 | - | - | - | - | - | - |
※ EDINET(金融庁 電子開示システム)の有価証券報告書をもとに作成
総合スコアは5軸(安定性・成長性・配当力・割安度・財務健全性)をそれぞれ100点満点で評価し、加重平均で算出します。
※ 各軸100点満点。データ不足の場合は該当項目が0点になります。