(1)企業ミッション当社は「つくろう。世界が愛するカルチャーを。」を企業ミッションとしております。
日本発のエンターテインメント・カルチャーを作り出し世界中のユーザーに広めていくことにより、日本のユニークな強みであるアニメ、ゲームといった文化に関わるクリエイターの活動の場を増やしていくことを目指しております。
日本の誇るアニメ、ゲーム等の関連産業は海外市場が牽引する形で成長を続けており、関連する市場規模として、グローバルアニメ市場は2024年時点で約3.8兆円規模(注1)、世界のコンテンツ市場は2022年時点で約135.6兆円規模(注2)にのぼるとされております。
当社は、こうした市場環境の広がりを捉え、AR(注3)やライブストリーミング(注4)といった最新技術を使って日本発のエンターテインメント・カルチャーを世界に広めていくことにより、クリエイターの活躍や日本文化のさらなる発展を後押しすることを目指しております。
(注)1.出所:一般社団法人日本動画協会「アニメ産業レポート2025」2.出所:経済産業省「エンタメ・クリエイティブ産業戦略~コンテンツ産業の海外売上高20兆円に向けた5ヵ年アクションプラン~」3.ARとはAugmented Realityの略称であり、ありのままに知覚される情報に、デジタル合成などによって作られた情報を付加し、人間の現実認識を強化する技術のことであります。
4.ライブストリーミングとは、インターネット上で音声や動画をリアルタイムで配信することであります。
(2)サービス概要当社はモーション・キャプチャー技術(注5)とアニメルック・アバター(注6)を用いて活動するバーチャル・エンターテイナー「VTuber」のキャラクター開発、及びVTuberプロダクション「hololive production(以下、「ホロライブプロダクション」という)」の運営を行っております。
当社のVTuberは当社が提供する配信技術とアニメルック・アバターを用いて、動画・楽曲配信プラットフォームでのコンテンツ配信や会場で観客を伴ってのライブコンサート・パフォーマンス等の活動を行います。
VTuberの開発は国内及び海外の主要なクリエイターとの協働により行っており、クオリティの高いキャラクター・アバターモデルが多くのファンからの支持を得ております。
VTuberによるアバターを用いた臨場感のあるライブパフォーマンスや視聴者との双方向性コミュニケーションは、視聴者にクリエイターの創作に対する強い親近感を与え、これまでのアニメ等では見られなかった新しいエンターテインメント体験をもたらします。
所属VTuberのキャラクターIP権利は当社に帰属しており、VTuberタレントの魅力を起点としてファンコミュニティとの継続的な関係性を構築し、音楽ライブ・イベント、マーチャンダイジング、ライセンス、ゲームその他のメディアミックス展開へと事業領域を広げる循環型のビジネスモデルを構築しております。
VTuberの影響力の拡大に伴って、コマース展開の規模も拡大しており、売上高全体に占めるIPコマース展開からの収益(注7)の構成比は、2021年3月期には39.8%だったところから2026年3月期では62.7%にまで増加しており、当社のビジネスモデルは単なる配信ビジネスに留まらず、VTuberを中心とした多面的なキャラクターコンテンツビジネスとしての性質が一層強くなっております。
2026年3月末時点でホロライブプロダクションのVTuber在籍数(注8)は84名(言語地域別で日本が49名、インドネシアが9名、英語圏が26名)となっており、そのうち43名はYouTubeのチャンネル登録数が100万登録を超える等幅広く支持を得ていると認識しております。
また、ホロライブプロダクションの所属VTuberのYouTubeチャンネル登録総数は9,502万登録(注9)を超えており、世界的に見ても登録数ランキング上位のVTuberが多く所属しております。
このような幅広い支持を獲得できる背景として、視聴者がライブ配信内でVTuberに向けたコメント等を通して、双方向性と没入感のあるライブエンターテインメントを楽しむことができる点が挙げられます。
さらにコンテンツ供給の観点からも、VTuberは立上げに長い期間と多額のコストが必要なTVアニメやゲーム等のコンテンツのキャラクターIPと比較して、相対的に低コストで継続的に視聴者との接点を持つことができる優位性を持っていると考えられます。
また、こうした双方向性と継続的な接点をベースとしたVTuberとのコミュニケーションの一環で、日常的に数多くのファンアートや多言語翻訳コンテンツが視聴者によって作成されており、そうしたUser Generated Contents(UGC)(注10)コミュニティの存在がVTuberコンテンツに深みをもたせ、新規の視聴者の拡大にも寄与していると考えられます。
こうした高頻度かつ双方向のコミュニケーションを背景とした当社のVTuber IPコンテンツのファンエンゲージメント(注11)の高さは、従来のアニメコンテンツ等と比較した際の当社コンテンツの独自性となっております。
(注)5.モーション・キャプチャー技術とは、カメラ等を使って人やモノの動きをデジタル化する技術のことであります。6.アニメルック・アバターとは、デフォルメされた色調の2Dアニメのような3Dモデル制作技法等を使って作られたアニメのような外見のキャラクターモデルのことであります。
7.マーチャンダイジング分野とライセンス/タイアップ分野の収益の和。8.チャンネルを複数名で共有している場合も1chに対し1名とみなし集計。9.YouTubeチャンネル登録数の総数は所属VTuberのYouTubeチャンネル登録数の総和として算出。2026年3月31日時点。
10.User Generated Contents(UGC)とは、主にソーシャルメディア等のオンライン・プラットフォーム上でユーザーによって投稿されるコンテンツのことであります。
11.ファンエンゲージメントとは、ブランドやコンテンツとファンが積極的に関与し合うことで構築される愛着等の結びつきのことであります。(3)当社の事業分野別の内容当社の事業は、VTuber事業並びにその付帯業務の単一セグメントで構成されております。
事業分野別では、①配信/コンテンツサービスと②ライブ/イベントサービスを通じて、ホロライブ等のグループ及び所属VTuberそれぞれの認知度の向上、ファンの獲得及びコミュニティの熱量上昇を図っており、その結果として醸成されたグループや個々のVTuber IPのブランドを基盤として、③マーチャンダイジングサービスと④ライセンス/タイアップサービスを展開しております。
事業分野別の詳細は以下のとおりであります。①配信/コンテンツYouTubeを中心とした動画配信プラットフォームや各種SNS等を通じて、VTuberのライブ配信、楽曲MV、又はアニメーション等の動画コンテンツを提供している他、音楽ストリーミングサービスでの楽曲コンテンツの提供も行っております。
主な収益項目は視聴者からのメンバーシップ加入、Super Chat、動画配信プラットフォーム上での広告収益、及び音楽ストリーミングサービス上での楽曲コンテンツの販売収益等となっており、主なコスト項目はプラットフォーム手数料、コンテンツ制作費及びVTuberとしてアバターを用いて活動するコンテンツ・クリエイター(演者)(注12)への収益分配等となっております。
VTuberのキャラクターIPは当社によって企画・制作されており、それぞれのVTuberの活動は当社からコンテンツ・クリエイターに対して貸与されるモーション・キャプチャーハードウェア/ソフトウエア、キャラクターアバター、及びYouTubeやX等の配信プラットフォーム/SNSアカウントを用いて提供されております。
当社はホロライブプロダクションのブランドとコミュニティを拡大させながら、オーディションにより選抜された演者、影響力の大きい外部クリエイター等との共創を通して、付加価値の高いIPを継続的に生み出す仕組みを構築しており、その結果として新規のVTuberでもデビュー時から大規模な集客を行うことが可能となっております。
当社所属のVTuberによるライブ配信コンテンツは、2026年3月期において29,000以上もの本数がYouTubeをはじめとする動画配信プラットフォームに提供されており、それらのアーカイブ(Archive:保存記録による配信)を含む動画コンテンツの累計投稿件数は2026年3月末時点で約15万本に上ります。
当社のVTuber IPは海外でも浸透が進んでおり、2026年3月末時点の当社配信における海外視聴者比率は27.5%を占めております。
字幕等を通したVTuberコンテンツのローカライズやSNSを通したコミュニティ運営等により、グローバルにUGCコミュニティの拡大を推進しつつローカル言語でのVTuberをデビューさせることにより、着実な海外展開を実施しております。
また、当社では多様かつ安定的なサービスの提供とコミュニティの健全な拡大のために、各種ガイドラインの整備、外部エンターテインメント企業とのアライアンスの拡充、及び関連する業界団体への参画等を行っております。
(注)12.コンテンツ・クリエイターとはアニメルック・アバターを用いてVTuberとしてライブ配信活動やコンテンツ制作を行う演者のことであります。
②ライブ/イベント所属VTuberのライブコンサート及びファンミーティング並びに当社IPの国内外出展等のイベントをオフライン又はオンラインで提供しております。
主な収益項目はオフライン、オンラインでのチケット販売収益、イベントに際した物販収益及びイベントの様子を収録した映像ソフトウェアの販売収益等となっており、主なコスト項目はイベント制作費及び演者出演費等となっております。
当社ではイベントの企画、制作を行っており、各イベントは外部制作会社、イベント会場運営会社、オンライン配信プラットフォーム等との協働によって提供されております。
ライブコンサートやファンミーティングといったイベントの実施にあたっては、大規模なモーション・キャプチャー及び配信が可能なスタジオ設備、並びにAR技術等を用いることにより、ファンが当社VTuberをより身近に感じることができるユニークな体験の提供を実現しております。
ライブコンサートイベントの多くは、映像設備を導入したコンサート会場に観客を動員して実施するオフラインでの実施と、インターネット上で配信プラットフォームを通してコンサートの様子をライブ配信するオンラインでの実施を同時に行っており、現地を訪れることのできない遠方のファンもオンライン配信を通してイベントに参加することが可能となっております。
イベントを通じたファン同士の交流は、ファンにとってもコミュニティ規模の成長を実感できる大きな機会となっております。
さらに、開催されたライブコンサートの映像等のアセットは、配信サイトでの提供やBlu-ray等のパッケージ販売といった二次利用にも展開され、本分野における安定的な収益の多角化に寄与しております。
また、イベントは国内だけでなく、海外でも多数実施しており、2022年より「hololive Meet」と題して、北米、ヨーロッパ、オーストラリア、アジア等、世界各地での出展やファンミーティングイベントを開催しているほか、2023年3月期より海外大規模コンサートを毎年開催し、積極的なグローバル展開を図っております。
③マーチャンダイジング当社VTuberをベースにしたキャラクターグッズ及びデジタルコンテンツの販売を行っております。
主な収益項目はEC(Electronic Commerce:電子商取引)又は小売店を通じた商品販売収益となっており、主なコスト項目は材料費等の製造費用、演者収益分配及び販売・決済手数料等となっております。
従来の芸能人等と比較した際のVTuberの独自性の一つとして、アニメのキャラクターのようにIPとしての多様なコマース展開を行いやすいことが挙げられます。これにより、当社EC上でも1つのキャラクターIPについて多種多様なグッズやデジタルコンテンツの企画販売が可能となっております。
当社では商品の企画・デザイン、販売、プロモーション等を行っております。商品販売は自社EC「hololive production OFFICIAL SHOP」からの受注又は在庫販売が主となっており、当該ECから国内及び海外の顧客に向けた販売を行っております。
加えて、自社ECからの発送や現地独自決済手段の導入が未対応の一部海外地域への販売等を目的とした外部ECサイトからの販売も行っております。2026年3月期においても、ECにおける販売地域の拡大や海外送料の固定化など、ユーザー体験の改善を通じた利便性向上に継続的に努めております。
さらに、複数の拠点を集約する新物流センターの運用開始等により、サプライチェーンマネジメントの最適化を図り、商品の安定供給とコスト管理の高度化を推進しております。
また、国内及び海外の小売店を通じた商品販売も継続的に拡大しており、ECでの購買を行わない幅広い消費者層に向けたブランドとの接触点拡大の役割も担っております。
マーチャンダイジングの売上構成は現状、VTuberのアニバーサリー等に際した特別受注生産・販売前提の商品のほか、プロダクションとしてのブランド力やIP商品の企画・販売体制の拡充に伴う自社企画商品の販売によって構成されております。
特に、2024年9月より販売を開始したトレーディングカードゲーム「hololive OFFICIAL CARD GAME」は、2026年3月末時点で累計3,000万パック以上の出荷実績を上げており、本分野における安定的な収益基盤の構築を牽引しております。
今後は、これらの多面的なコマース展開を通じた収益の多角化により、自社バリューチェーンにおける価値の増幅を図りつつ、トレーディングカードゲームの海外言語版展開をはじめとするグローバル市場への進出をさらに加速させてまいります。
④ライセンス/タイアップ外部商品又はコンテンツのメーカー等に対する当社保有IPの使用権利の提供(以下、「ライセンスアウト」という)又はタイアップ広告を通じた当社所属VTuberによる他社企業のプロモーションやメディア出演を提供しております。
主な収益項目はライセンスアウトの対価としてのロイヤリティ収益及び広告出稿企業やメディアからのプロモーション料・出演料収益となっており、主なコスト項目は個別の案件実施に係る一部制作費負担や演者への出演料分配となっております。
当社では具体的なライセンスアウト案件に係る制作監修、又はVTuberによる出演・プロモーション協力等を提供しております。
VTuberはライブ配信等で活動するインフルエンサーであることに加えてキャラクターIPとしての性質を有しているため、当社IPが他社のゲーム等のコンテンツ内でキャラクターとして活用されるような事例もあり、そうした事例は規模の大きさから案件あたりの収益性も高くなっております。
また、タイアップ広告でもVTuberの直接の稼働無しに商品パッケージやポスター等で活用される事例があり、そうした事例は直接の演者稼働を伴う一般的なインフルエンサー広告の事例よりも効率性の観点から収益性が高くなるケースが多くなっております。
近年では、国内外の取引代理店との連携強化や営業体制のさらなる整備を通じて、2026年3月末時点で取引社数は約500社へと拡大しております。ゲーム・玩具・食品・日用品など多岐にわたる業種との取引が深化しているほか、プロダクションのブランド認知度向上を背景とした大型案件の獲得も進んでおります。
代表的な事例として、外部開発パートナーとの連携による当社初の大型スマートフォンゲーム『hololive Dreams』の全世界同時事前登録を2026年3月より開始するなど、デジタルコンテンツ領域における中長期的な収益機会の創出に取り組んでおります。
さらに、北米やアジアなどの海外大消費地においても、現地の需要に即した大型タイアップやライセンス展開が加速しており、グローバルな収益基盤の確立に貢献しております。
前述のようにVTuberのライセンス/タイアップビジネスは演者の稼働制約に縛られずに案件数を増加させられる事例もあるため、こうした多角的なメディアミックス展開を引き続き推進し、事業規模の拡大と自社IPのグローバルなブランド価値向上に繋げてまいります。[事業系統図]。
株価チャートは以下の外部サービスでご確認ください。
※ EDINET(金融庁 電子開示システム)の有価証券報告書をもとに作成
40.7/ 100
※ EDINET(金融庁 電子開示システム)の有価証券報告書・四半期報告書をもとに作成
| 指標 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | 2026年 |
|---|---|---|---|---|
| 損益 | ||||
| 売上高企業の本業での収入の合計 | 205億 | 302億 ↑47.5% | 434億 ↑43.9% | 493億 ↑13.7% |
| 営業利益本業で稼いだ利益。売上高から原価と販管費を引いたもの | 34億 | 55億 ↑62.0% | 80億 ↑44.5% | 71億 ↓11.8% |
| 経常利益営業利益に金融収支等を加えた、通常の事業活動による利益 | 34億 | 56億 ↑66.1% | 80億 ↑41.6% | 71億 ↓11.2% |
| 純利益税金や特別損益を差し引いた最終的な利益。株主に帰属する利益 | 25億 | 41億 ↑64.9% | 56億 ↑34.4% | 30億 ↓45.7% |
| 収益性 | ||||
| EPS1株あたり純利益。純利益÷発行済株式数で算出。高いほど収益力が高い | 42.0円 | 67.7円 ↑61.0% | 88.7円 ↑31.0% | 46.0円 ↓48.2% |
| ROE自己資本利益率。株主の出資金でどれだけ利益を生んだかの指標。8%以上が目安 | 35.80% | 45.60% ↑27.4% | 39.60% ↓13.2% | 16.30% ↓58.8% |
| ROA総資産利益率。全資産を使ってどれだけ利益を出したかの指標。5%以上が目安 | 15.79% | 18.21% ↑15.3% | 16.81% ↓7.7% | 8.64% ↓48.6% |
| 営業利益率売上高に対する営業利益の割合。本業の収益力を示し、10%以上なら優良 | 16.71% | 18.35% ↑9.8% | 18.44% ↑0.5% | 14.30% ↓22.5% |
| キャッシュフロー | ||||
| 営業CF本業から実際に入ってきた現金。プラスが大きいほど稼ぐ力が強い | 49億 | 48億 ↓2.1% | 53億 ↑10.9% | 72億 ↑36.3% |
| 投資CF設備投資や企業買収等に使った現金。成長企業は通常マイナスが大きい | -28億 | -39億 ↓41.1% | -27億 ↑30.7% | -27億 ↓0.2% |
| 財務CF借入・返済・配当金支払い等による現金の動き | 10億 | 0 ↓100.0% | 2億 | - |
| フリーCF企業が自由に使えるお金。営業CF+投資CFで算出。配当や成長投資の原資 | 21億 | 9億 ↓58.6% | 26億 ↑196.9% | 45億 ↑73.9% |
| 財務 | ||||
| 総資産企業が保有する全ての資産(現金・設備・投資等)の合計 | 159億 | 227億 ↑43.0% | 331億 ↑45.6% | 349億 ↑5.6% |
| 自己資本返済不要な資本。株主からの出資金と利益の蓄積で構成される | 70億 | 111億 ↑59.1% | 169億 ↑52.1% | 200億 ↑17.8% |
| 自己資本比率総資産に占める自己資本の割合。高いほど財務が安定。40%以上が目安 | 44.10% | 49.00% ↑11.1% | 51.30% ↑4.7% | 57.20% ↑11.5% |
| 配当 | ||||
| 一株配当1株あたりの年間配当金額。株主への利益還元額 | - | - | - | - |
| 配当性向純利益のうち配当に回す割合。30〜50%が健全な目安。高すぎると持続性に懸念 | - | - | - | - |
※ EDINET(金融庁 電子開示システム)の有価証券報告書をもとに作成
総合スコアは5軸(安定性・成長性・配当力・割安度・財務健全性)をそれぞれ100点満点で評価し、加重平均で算出します。
※ 各軸100点満点。データ不足の場合は該当項目が0点になります。