(1)事業の概要 当社グループは、当社と連結子会社2社により構成されており、PXBマウス(ヒト肝細胞を持つキメラマウス)を用いた医薬品開発の受託試験サービスを主たる業務としております。当社の事業の系統図は以下のとおりであります。なお、当社のセグメントはPXBマウス事業のみの単一セグメントであります。
[事業系統図] ・PXBマウス事業 当社は、マウスの肝臓の70%以上がヒトの肝細胞に置き換えられた「PXBマウス=ヒト肝細胞キメラマウス」を作製する技術を持ち、このヒト肝細胞キメラマウス(製品名:PXBマウス)を用いて、医薬品開発における創薬過程のうち、主に前臨床過程において様々なサービスを展開しております。
医薬品の安全性、有効性を確保するためには、臨床試験においてヒトでの代謝を確認することが必要ですが、「PXBマウス」では薬を代謝するのに重要な臓器である肝臓の大部分がヒト肝細胞に置き換わっていることから、ヒトの代謝を予測することができると考えられ、当社は製薬会社に対し「PXBマウス」を用いた医薬候補物質の投与の受託試験サービスを提供しております。
また、「PXBマウス」は、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスなど、ヒトの肝細胞にしか感染しないウイルスを研究するツールとなることも実証されており、抗ウイルス薬の開発にも利用されております。PXBマウスを用いた主なサービスは以下のとおりです。
① DMPK/Tox試験(薬物動態関連試験、安全性試験) DMPK(Drug Metabolism and Pharmacokinetics)とは、薬物がヒトの体内に取り込まれて薬効を発揮する過程で酵素的酸化反応や抱合反応、あるいは加水分解などの代謝作用によって速やか、かつ安全に体外に排出する薬物の体内動態に関する評価・解析のことです。
薬物が薬効を発揮するためには一定の時間、適切な有効濃度で体内にとどまる必要がありますが、同時に、ヒトにとって薬物は異物であるので代謝機構で速やかに排出されなければなりません。また、Tox(Toxicology)とは、肝臓を始めヒト体内の種々の組織や細胞に与える毒性の評価・解析のことであります。
薬物は常に薬効と毒性が表裏一体の関係であるため、毒性が現れる臓器や症状、毒性を示す薬の量などを臨床試験に入る前に、十分予測しておく必要があります。特に肝臓は薬物代謝の主担当臓器であるため、毒性を示すことが多いとされています。
新薬候補のヒト臨床での開発が中止される理由のうちDMPK/Toxはおよそ30%を占めると報告があり、また、ヒトでの毒性の多くは肝毒性であるとの報告もあります。
PXBマウスは肝臓の70%以上は移植したヒト肝細胞によって形成されていることから、ヒト肝臓での薬物動態や肝毒性反応を擬似予想することができるモデル動物だと考えられます。
当社では、創薬の前臨床試験において有用なデータを取得することができると考え、PXBマウスを用いた薬物動態関連試験及び安全性試験の受託試験サービスを提供しております。
② 肝炎試験(薬効評価) 新薬候補化合物の有効性について評価することが薬効試験の目的ですが、PXBマウスは、ヒト肝細胞を有することで、ヒト肝臓疾患モデル動物としての高い利用価値を持っています。
特に、適切な疾患モデル動物の利用が困難となっていたC型肝炎ウイルスやB型肝炎ウイルス研究については、PXBマウスを利用することで大規模な薬効評価試験を速やかに実施することが可能となりました。
これまでに国内外の多くの製薬企業や研究機関がPXBマウスを利用して新薬候補化合物の有効性を検証しており、当社グループは主に抗肝炎薬の薬効評価の受託試験サービスを提供しております。
③ PXB-cellsの販売(PXBマウスから得られる新鮮ヒト肝細胞) 新薬候補の探索や最適化の過程では、短時間で大量の候補物質を評価するために、ロボットを用いた自動的解析手法であるin vitro ハイスループットスクリーニングが採用されています。
このスクリーニングでは、主にヒト由来の細胞が用いられており、特に代謝に関連する評価ではヒト肝細胞が一般的に使用されています。しかし、供給をドナーに依存する新鮮ヒト肝細胞は、元々の入手量自体が潤沢ではない上に供給時期も不定期であり、さらに、多くのケースにおいて利便性を優先し冷凍保管されています。
一旦冷凍されたヒト肝細胞は、細胞の機能がある程度低下しますが、創薬研究者は、凍結ヒト肝細胞を用いた評価に頼らざるを得ない状況にあります。これに対し、当社が提供するPXB-cellsは、PXBマウスから随時灌流採取した肝細胞を、非凍結のまま新鮮な状態で提供が可能です。
PXB-cellsを利用することにより、創薬研究者は、肝細胞本来の機能を保持した状態で実験・評価することが可能となり、また、PXBマウスの安定生産を背景に、創薬研究者の都合に応じて実験を実施することが可能です。
PXBマウスの肝臓から、コラゲナーゼ灌流法によりヒト肝細胞を分離すると、約1.5×108個のヒト肝細胞が得られます。このヒト肝細胞の生存率は約85%、マウス肝細胞の混入率は5%程度です。
このようにして得られたヒト肝細胞は、新鮮であるためシャーレへの接着率は非常に高く、新鮮ヒト肝細胞としての高い薬物代謝能を持ち、B型肝炎ウイルスの長期培養系としても有効です。
(2)PXBマウスについて ① PXBマウス PXBマウスは、マウス肝臓に含まれる肝細胞の70%以上がヒト肝細胞で置換されたマウスとして日本、米国、カナダ、欧州、中国等で商標登録(PXBマウス及びPXB-mouse)されています。
② PXBマウスの生産方法 PXBマウスの生産には、cDNA-uPA/SCIDマウスと凍結ヒト肝細胞を利用します。始めに3週齢(6~9g)のcDNA-uPA/SCIDマウスの脾臓より、ヒト肝細胞を注入移植します。
移植後3週目よりマウスの尾より採血し、マウス血中のヒトアルブミン(ヒト肝細胞から分泌されるタンパク質の一種)濃度を測定します。
ヒトアルブミン濃度とヒト肝細胞数はほぼ相関していることから、ヒトアルブミン濃度を測定することによってマウス肝臓の中でヒト肝細胞によるマウス肝細胞の置換の程度を推定することができ、移植後概ね11週目から被移植マウスの推定置換率は70%以上となります。
当社グループでは、年間4,000匹以上のPXBマウスをコンスタントに生産しています。また、PXBマウスの生産に用いるヒト肝細胞として、単一ドナーから得られた肝細胞を大量に購入して凍結保管しておりますので、生産を継続することが可能です。
③ PXBマウスの特徴 PXBマウスの特徴は、マウスの生命維持に不可欠な器官の一つである肝臓において、異種であるヒトの肝細胞がマウス本来の肝細胞と70%以上入れ替わった状態を維持しつつ、実験動物として利用可能であることです。
PXBマウスの肝臓の中にあるヒト肝細胞は、ヒト体内にある状態に極めて近いことを裏付けるデータが得られていますので、PXBマウスを利用することによって、ヒト肝細胞に関連する様々な実験を、同じドナーの肝細胞を持つPXBマウスを用いて繰り返し実施することが可能です。
《用語解説》 [(ヒト肝細胞)キメラマウス] キメラとは、同一の個体内に異なる遺伝情報を持つ個体であります。当社のキメラマウス(当社製品名:PXBマウス)はマウスにヒトの肝細胞を移植し、マウス肝臓がヒトの肝細胞に置換していることから、マウスとヒトの遺伝情報を有しております。
[前臨床、臨床試験] 臨床試験とは、新薬候補化合物の有効性や安全性を実際にヒトに投与し確認することであり、前臨床(または非臨床)とは、臨床試験に先立ち、動物等を用いてこれらを確認することであります。
[代謝] 生命の維持のために生物が行う、外界から取り入れた様々な物質を素材として行う一連の合成や化学反応のことであります。[酵素的酸化反応] 生物における代謝反応の一つで、酸素原子を付加することを補助する酵素により、酸素分子を物質と結合させる反応のことであります。
[抱合反応] 生物における代謝反応の一つで、薬物などの異物や体内由来の物質(ホルモン、胆汁酸、ビリルビンなど)に他の親水性分子(硫酸、グルクロン酸、グルタチオンなど)が付加される反応であります。[加水分解] ある一つの物質が二つの物質に分解する際、水を必要とする反応のことをいいます。
[体内動態] ある物質を対象として、生物の体内への取り込みから、体内への分布、代謝を経て排出までの過程のことをいいます。
[ハイスループットスクリーニング] 創薬工程の初期において、膨大な化合物ライブラリーの中から、有効性のある化合物を選抜する手法のことであり、一般的にロボットを用いて自動的かつ高速で評価されています。
[コラゲナーゼ灌流法] コラーゲンを分解する酵素であるコラゲナーゼ溶液を動物の肝臓へ血脈から流し、肝臓外へ放出させる過程を継続させ、肝臓内のコラーゲンを分解することにより肝細胞を分散させ単離する方法であります。
[cDNA] 細胞内での蛋白質合成においてDNAの遺伝子として働く部分(情報)を人工的に合成したDNAであり、complementary DNA (相補的DNA, cDNA)と呼ばれています。[uPA] ウロキナーゼ型プラスミノゲン活性化因子(uPA)は様々な蛋白質を溶かすことができる酵素の一つです。
体内で凝固した血餅を溶解し除去する線溶系としての働きがよく知られています。[SCID] severe combined immune deficiency(重度複合型免疫不全)の略称です。免疫反応を司るリンパ球(T細胞、B細胞)を持たない病態のことをいいます。
このことから、SCIDマウスは異種の細胞などを移植してもリンパ球や抗体などによる免疫反応が起こらず、異種細胞が生着することができます。[ホスト動物] 移植における、臓器を提供する側をドナー動物といい、提供を受ける側をホスト動物、またはレシピエント動物といいます。
[トランスジェニックマウス] 遺伝子工学の手法を用いて、遺伝情報を変化させた遺伝子改変マウスのことをいいます。
この手法により、通常のマウスが持っていない蛋白質をマウス体内で作らせたり、通常よりもある蛋白質を多く作らせたりすることにより、病態モデルマウスを作製したり、あるいは、ある特定の蛋白質の性質を調べるために利用されています。
[cDNA-uPA/SCIDマウス] cDNA-uPA/SCIDマウスは、urokinase-type plasminogen activator cDNAトランスジェニックマウスであり肝障害を有し、さらにはSCIDマウスであるため免疫不全動物という特徴を持ちます。
当社では、キメラマウス研究で一般的に利用されているThe Jackson Laboratory(米国)のuPAトランスジェニックマウスに代わり、cDNA-uPAマウスを、公益財団法人東京都医学総合研究所、中外製薬株式会社との共同研究で開発し(国際特許取得済み)、これをホスト動物としてPXBマウスを生産しています。
このホスト動物を利用することにより、PXBマウスは、より長期間、安定的にヒト化状態を維持できるという特徴があります。[CRO] Contract Research Organization(開発業務受託機関)とは、前臨床及び臨床試験等を製薬企業に代わり、受託する機関であります。
株価チャートは以下の外部サービスでご確認ください。
※ EDINET(金融庁 電子開示システム)の有価証券報告書をもとに作成
20.5/ 100
※ EDINET(金融庁 電子開示システム)の有価証券報告書・四半期報告書をもとに作成
| 指標 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | 2026年 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 損益 | ||||||||||
| 売上高企業の本業での収入の合計 | 12億 | 9億 ↓26.6% | 12億 ↑36.1% | 13億 ↑6.7% | 10億 ↓22.7% | 13億 ↑30.7% | 21億 ↑60.3% | 17億 ↓19.2% | 15億 ↓10.1% | 16億 ↑1.6% |
| 営業利益本業で稼いだ利益。売上高から原価と販管費を引いたもの | 1億 | -3億 ↓289.0% | -3億 ↓16.1% | -1億 ↑53.0% | -3億 ↓88.8% | -2億 ↑39.5% | 5億 ↑403.3% | 1,106万 ↓97.8% | -1億 ↓1384.3% | 8,277万 ↑158.3% |
| 経常利益営業利益に金融収支等を加えた、通常の事業活動による利益 | 1億 | -3億 ↓300.5% | -3億 ↓4.7% | -1億 ↑55.2% | -2億 ↓78.6% | -1億 ↑42.8% | 5億 ↑499.6% | 4,353万 ↓91.5% | -2億 ↓456.5% | 1億 ↑184.6% |
| 純利益税金や特別損益を差し引いた最終的な利益。株主に帰属する利益 | 1億 | -3億 ↓311.0% | -3億 ↓9.9% | -4億 ↓39.7% | -2億 ↑42.7% | -4億 ↓63.0% | 5億 ↑227.2% | 2,638万 ↓94.7% | -4億 ↓1801.9% | 1億 ↑127.9% |
| 収益性 | ||||||||||
| EPS1株あたり純利益。純利益÷発行済株式数で算出。高いほど収益力が高い | 44.4円 | -93.4円 ↓310.1% | -102.0円 ↓9.2% | -141.8円 ↓39.1% | -73.6円 ↑48.1% | -117.5円 ↓59.6% | 145.2円 ↑223.6% | 7.0円 ↓95.2% | -111.0円 ↓1690.1% | 30.8円 ↑127.8% |
| ROE自己資本利益率。株主の出資金でどれだけ利益を生んだかの指標。8%以上が目安 | 6.29% | -14.52% ↓330.8% | -18.77% ↓29.3% | -35.23% ↓87.7% | -20.88% ↑40.7% | -45.97% ↓120.2% | 42.41% ↑192.3% | 1.61% ↓96.2% | -33.84% ↓2201.9% | 8.67% ↑125.6% |
| ROA総資産利益率。全資産を使ってどれだけ利益を出したかの指標。5%以上が目安 | 5.38% | -12.48% ↓332.0% | -15.61% ↓25.1% | -14.93% ↑4.4% | -9.46% ↑36.6% | -17.01% ↓79.8% | 16.34% ↑196.1% | 0.97% ↓94.1% | -19.64% ↓2124.7% | 5.71% ↑129.1% |
| 営業利益率売上高に対する営業利益の割合。本業の収益力を示し、10%以上なら優良 | 11.57% | -29.77% ↓357.3% | -25.39% ↑14.7% | -11.19% ↑55.9% | -27.32% ↓144.1% | -12.65% ↑53.7% | 23.94% ↑289.2% | 0.64% ↓97.3% | -9.22% ↓1540.6% | 5.29% ↑157.4% |
| キャッシュフロー | ||||||||||
| 営業CF本業から実際に入ってきた現金。プラスが大きいほど稼ぐ力が強い | 4,483万 | -2億 ↓517.6% | -2億 ↑14.8% | -1,262万 ↑92.1% | -1億 ↓707.7% | 1,640万 ↑116.1% | 3億 ↑1592.2% | -7,931万 ↓128.6% | -7,300万 ↑8.0% | 6,886万 ↑194.3% |
| 投資CF設備投資や企業買収等に使った現金。成長企業は通常マイナスが大きい | 9,883万 | -5億 ↓557.0% | -6,463万 ↑85.7% | -1,575万 ↑75.6% | -2億 ↓1072.9% | -698万 ↑96.2% | -2億 ↓2141.4% | 1億 ↑173.8% | -2,799万 ↓124.3% | -1,375万 ↑50.9% |
| 財務CF借入・返済・配当金支払い等による現金の動き | 2,029万 | -6,300万 ↓410.5% | -6,474万 ↓2.8% | 11億 ↑1870.2% | -2億 ↓114.0% | -3,466万 ↑78.4% | 8,663万 ↑350.0% | -2億 ↓382.7% | -1億 ↑47.7% | -8,801万 ↑31.2% |
| フリーCF企業が自由に使えるお金。営業CF+投資CFで算出。配当や成長投資の原資 | 1億 | -6億 ↓544.7% | -2億 ↑64.9% | -2,837万 ↑87.3% | -3億 ↓910.5% | 942万 ↑103.3% | 1億 ↑1185.7% | 3,605万 ↓70.2% | -1億 ↓380.1% | 5,511万 ↑154.6% |
| 財務 | ||||||||||
| 総資産企業が保有する全ての資産(現金・設備・投資等)の合計 | 24億 | 22億 ↓9.1% | 19億 ↓12.2% | 28億 ↑46.1% | 25億 ↓9.6% | 23億 ↓9.4% | 30億 ↑32.4% | 27億 ↓10.0% | 23億 ↓15.8% | 22億 ↓4.1% |
| 自己資本返済不要な資本。株主からの出資金と利益の蓄積で構成される | 21億 | 19億 ↓11.3% | 16億 ↓15.0% | 12億 ↓25.5% | 11億 ↓3.4% | 8億 ↓25.9% | 15億 ↑79.8% | 18億 ↑16.1% | 13億 ↓24.7% | 15億 ↑10.0% |
| 自己資本比率総資産に占める自己資本の割合。高いほど財務が安定。40%以上が目安 | 88.20% | 85.62% ↓2.9% | 80.97% ↓5.4% | 41.70% ↓48.5% | 43.45% ↑4.2% | 36.12% ↓16.9% | 49.79% ↑37.8% | 65.67% ↑31.9% | 59.11% ↓10.0% | 70.16% ↑18.7% |
| 配当 | ||||||||||
| 一株配当1株あたりの年間配当金額。株主への利益還元額 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - |
| 配当性向純利益のうち配当に回す割合。30〜50%が健全な目安。高すぎると持続性に懸念 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - |
※ EDINET(金融庁 電子開示システム)の有価証券報告書をもとに作成
総合スコアは5軸(安定性・成長性・配当力・割安度・財務健全性)をそれぞれ100点満点で評価し、加重平均で算出します。
※ 各軸100点満点。データ不足の場合は該当項目が0点になります。