当社グループは、当社及び連結子会社である株式会社北山住宅販売で構成されております。社名の「株式会社T.S.I」は、「Terminalcare Support Institute」の略であり、「終末期ケアの支援機関」を意味します。
当社は、日本の超高齢社会(※)において、在宅独居高齢者の孤独死、要介護者の在宅生活の限界と特養の入所待機者の解消という社会課題を解決するため、「サービス付き高齢者向け住宅」の運営、「訪問介護/介護予防・日常生活支援」、「訪問看護」及び「居宅介護支援」を行っております。
なお、当社グループの事業セグメントは、高齢者住まい法に基づくサービス付き高齢者向け住宅の運営、及び介護保険法に基づく訪問介護、居宅介護支援、健康保険法及び介護保険法に基づく訪問看護等を行う「介護事業」(当社)、並びに当社が運営するサービス付き高齢者向け住宅「アンジェス」の設計、建築、保有を行う「不動産事業」(株式会社北山住宅販売)で構成されており、当社グループは、自宅で看取られたいと望む高齢者が安心して住める住まいと介護サービスを提供することを目的に、サービス付き高齢者向け住宅を「設計・建築・運営」まで一気通貫して提供しております。
また、拠点数・居室数の推移は下記のとおりであります。
拠点数 居室数 2016年12月末 14 418 2017年12月末 16 475 2018年12月末 19 561 2019年12月末 20 630 2020年12月末 24 746 2021年12月末 28 892 2022年12月末 31 979 2023年12月末 32 1,029 2024年12月末 33 1,085 2025年12月末 36 1,210 (※)高齢化の進行具合を示す言葉として、65歳以上の人口が、全人口に対して7%を超えると「高齢化社会」、14%を超えると「高齢社会」、21%を超えると「超高齢社会」と呼ばれます。
(1)当社グループの各事業の内容 (介護事業) ① サービス付き高齢者向け住宅 高齢者が暮らすための介護サービスは「施設系」と「住宅系」に大別されます。「施設系」の契約は利用権方式、「住宅系」の契約は賃貸借方式をとっており、サービス付き高齢者向け住宅は「住宅系」にあたります。
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者住まい法の第5条において「状況把握サービス(安否確認)」「生活相談サービス」を行うことが必須とされておりますが、その上に付加するサービスについては各事業者の任意となっております。
サービス付き高齢者向け住宅は、医療体制がしっかりしており、重度の方を対象とする「医療特化型」、介護体制がしっかりしており、自立~重度の方までを対象とする「介護特化型」、入居時費用等が高額であり、高所得者層を対象とする「高級志向型」、自立度が高い方向けに最低限のサービスのみ提供する「高齢者一般向け」等の様々な形態がみられます。
当社は従来は「介護特化型」に特化して事業を展開してまいりましたが、2023年以降は「医療特化型」の要素も内包した、介護と医療の両方の支援を行うことが可能な「ハイブリッド型」を新規開設時の基本スタイルに据えております。
当社は、後述するように、基本的にサービス付き高齢者向け住宅内の事務所部分に、訪問介護事業所、訪問看護事業所を併設させ、同一敷地内または近隣に居宅介護支援事業所を併設させた形で、24時間施設に人員を配置しております。
看取りまで対応を行うなど、要介護2~3程度の介護が必要な方を主たる顧客層とし、直近では訪問看護事業所を併設することで、医療依存度の高い方の受け入れも進めております。利用者は、当社が運営するサービス付き高齢者向け住宅「アンジェス」に賃貸借契約を締結して入居します。
サービス付き高齢者向け住宅は、様々なサービスを提供することが可能ですが、当社は現在、住まいの提供、生活支援サービス、食事の提供に加え、訪問介護事業、訪問看護事業、居宅介護支援事業によるサービス提供をしております。
生活支援サービスでは、安否確認(毎日、主に食事時を利用した食堂での見守りなど)及び機能訓練も意識したレクリエーションを毎日実施しております。希望者や必要な方には、生活支援サービスのオプション対応として、有償での介護の提供も行っております。
当社では、サービス付き高齢者向け住宅を建築されるオーナーから委託を受けて、サービス付き高齢者向け住宅の運営及び入居者に対するサービスの提供を行っております。当社の運営するサービス付き高齢者向け住宅の主な入居者は、要介護1以上の要介護認定を受けている高齢者です。
高齢者住まい法で定められている、サービス付き高齢者向け住宅を運営する上での最低要件は「状況把握サービス(安否確認)」「生活相談サービス」の提供であり、居室部分の設備(浴室やキッチンの設置の有無)や介護サービス体制、料金設定等は事業者に委ねられておりますが、当社は特養入所待機者層をメイン顧客層としているため、全体的に設備は介護が必要な方向けのものを準備し、人員配置やサービス内容を整備しております。
また、介護保険の訪問介護だけを利用して在宅で生活を送ろうとした場合、介護保険の区分支給限度基準額を超えた部分は利用者の10割(全額)負担となり、生活費が高額となりますが(※)、当社の運営するサービス付き高齢者向け住宅では、利用者が介護保険でまかないきれない部分について生活支援サービスのオプション(有償)を利用することで、介護保険で10割(全額)負担となる場合に比べて、同一サービスを低価格で受けることができる料金体系としております。
当社は、サービス付き高齢者向け住宅に訪問介護事業所を併設しております。これは、利用者との一対一の関わりの頻度を高くし、家族介護を代替する体制をとるためです。入居者とスタッフ、または入居者同士の関わりを多くするために毎日レクリエーションも実施しております。
高齢者の方が強く感じやすい、孤独・不安を少しでも取り除くことができるよう、人との関わりを多く持てる安心した生活の場を提供しております。在宅での看取りとは原則、医療処置や延命措置を行わないため、本人、家族、訪問診療医がその点について合意することが必要になります。
三者の積極的延命措置はしない旨の共有のもと、各拠点の提携先の訪問診療医が痛みや苦しみを和らげるケアを、当社に所属する訪問看護師や外部の訪問看護が状況把握や経過観察を行い、「アンジェス」のスタッフが最期の日々の生活をサポートすることで「アンジェス」での在宅の看取りは成り立っております。
なお、2023年12月期以降の新規開設拠点では、大型拠点の場合は訪問看護事業所を併設しており、当社でより多くの方の看取りまでの支援が可能となりました。
(※)在宅で介護保険を利用する場合、利用者の自己負担割合は1割(本人の収入によって自己負担割合は1~3割の間で変動)となりますが、各々の認定された要介護状態により、利用できる介護保険サービスの量が異なります。
2019年10月の改定時より、要介護1の利用者の区分支給限度基準額(1割負担で利用できる範囲)は16,765単位、要介護3の利用者の区分支給限度基準額は27,048単位であるなど要介護度に応じて設定されております。
介護保険の限度額(区分支給限度基準額)を超過して介護保険サービスを利用した場合、10割(全額)負担となり、限度額内でサービスを利用できていた場合と比べ、約10倍の自己負担金額となります。
これが積み重なると、金銭的な負担が大きくなり、「アンジェス」での生活の継続が難しくなり、特養など施設への転居を本格的に検討しなければならなくなりますが、当社は、介護保険とサービス付き高齢者向け住宅の生活支援サービスのオプション(有償)を併用するプランを提供できることから、必要な介護と費用負担面を考慮しながら生活プランを設計することが可能となっております。
② 訪問介護/介護予防・日常生活支援 訪問介護とは、65歳以上の第1号被保険者(第2号被保険者にあっては特定疾病等で認定を受けた40歳~64歳の方)で、要介護認定を受けた利用者に対して、介護福祉士(ケアワーカー)や訪問介護員(ホームヘルパー)が、自宅へ訪問し、食事・排泄・入浴など直接身体に触れる身体介助や掃除・洗濯などの家事面における生活援助を行うサービスです。
介護支援専門員(以下、「ケアマネージャー」という。)が作成するケアプランに沿って、食事・排泄・入浴の支援や、血圧測定、緊急時の通院補助等、日常生活の支援を実施しております。
当社の訪問介護事業所「ケアステーションあんじぇす」では、主として「アンジェス」の入居者に向けて訪問介護を提供しており、「ケアステーションあんじぇす」のスタッフは、サービス付き高齢者向け住宅のスタッフも兼務しております。
時間帯によってはサービス付き高齢者向け住宅の仕事も行っており、食事の様子、夜間の様子など24時間を通した入居者の生活の支援・見守りを行っております。
これらの理由から、訪問介護においても利用者の些細な変化に気づきやすく、体調不良時などに早期に家族や医療従事者へ情報提供ができる体制が整っていること、利用者との信頼関係を深く築きやすいことで、利用者がより安心できる看取りの場を提供できること等が特徴となっております。
③ 訪問看護/介護予防訪問看護 訪問看護とは、看護師等が療養者などの居宅を訪問して行う看護(療養上の世話または必要な診察の補助)です。
訪問看護サービスの対象者は医療的ケアを必要とする方であり、医師から指示書を受け取った看護師は看護計画を作成し、医療保険と介護保険による訪問看護サービスを提供しております。
当社の訪問看護事業所「訪問看護ステーションルーチェ」では、「アンジェス」に入居する方の終末期ケアのホスピスケアを担い、介護と看護の連携によって、身体及び心のケアを行うことで、入居者の心身の苦しみの緩和、生命を脅かす病に関連する問題に直面している方とその家族のQOL(生活の質)の維持向上に向け、 最後まで自分らしく生きるために生じる問題を見出し対応しております。
④ 居宅介護支援 居宅介護支援とは、在宅で介護を希望する利用者向けの介護サービスのひとつです。ケアマネージャーが、要介護・要支援認定された要介護者や要支援者、その家族の生活環境の状況を確認し、利用者やその家族に対して、介護や支援の内容について確認し、それに基づきケアプランを作成します。
当社の居宅介護支援事業所「ケアプランセンターえんじゅ」では、「アンジェス」の入居者以外の外部の利用者にサービス提供するケースもあるものの、主として「アンジェス」の入居者を対象としております。
当社のケアマネージャーは、「アンジェス」の生活環境や「アンジェス」の生活時間帯を把握することで、多くの利用者に安心・安全にサービスを提供できるプラン設計を目指しております。
利用者は、当社サービス利用前に担当していたケアマネージャーに引き続き担当を依頼することも可能であるため、一部の利用者は外部のケアマネージャーが担当しております。当社のケアマネージャーは、「アンジェス」の入居者の状態を日々知ることができ、それらを参考としてケアプランの作成をすることが可能です。
また、当社のケアマネージャーは、「アンジェス」が提供可能なサービスに関する知識もあり、利用者の介護面と金銭面を考慮したプランを作成できることから、長く安心して生活できるプランを迅速に提案することが可能となっております。
(不動産事業) 不動産事業は、サービス付き高齢者向け住宅「アンジェス」の設計・建築に加え、複数拠点の「アンジェス」の所有を行っております。不動産事業では、株式会社北山住宅販売がオーナーと建築請負契約を締結し、サービス付き高齢者向け住宅の設計から建築までを行っております。
同一モデルのサービス付き高齢者向け住宅を手掛けてきたノウハウの蓄積により、設計期間の短縮化・効率化と介護向けの建物としての質の向上を図っております。当社で運営するサービス付き高齢者向け住宅だけでなく、外部運営業者が運営するサービス付き高齢者向け住宅の建築請負も行っております。
(2)事業の特徴 当社は京都府、滋賀県を中心に岡山県、静岡県、兵庫県、愛知県、神奈川県、岐阜県、大阪府、栃木県、東京都にサービス付き高齢者向け住宅「アンジェス」を展開し、基本的に「アンジェス」に併設する形で訪問介護事業所「ケアステーションあんじぇす」を、「アンジェス」に併設または近隣に居宅介護支援事業所「ケアプランセンターえんじゅ」を、一部拠点では「アンジェス」に併設する形で「訪問看護ステーションルーチェ」を開設しております。
当社のサービス、事業展開の主な特徴は、以下のとおりであります。① 当社グループにおけるワンストップでのサービス提供 当社は、建築・不動産を担う100%連結子会社として株式会社北山住宅販売を有しております。
同社はサービス付き高齢者向け住宅に特化した設計・建築を行っており、29室モデルまたは50室モデルについてのノウハウを蓄積しております。
拠点の建築を外部業者に委ねた場合、適切な開設先を確保できないリスクや建築コストが高くなるリスク等があることから、当社グループ内で設計・施工を一貫して行う形態をとっております。事業スキームとしては、大きく分けて以下の2つの形態があります。
従来は基本的に、外部の土地オーナーが施主となり株式会社北山住宅販売が建築請負契約を結び、建物完成後に当社又は一括借上業者が一括借り上げを行い、当社は賃貸テナントとして介護事業運営を行うスキームで事業を行っておりました。
しかし現在は、当社グループ自らが土地・建物を取得し、自社で設計・施工を行い「アンジェス」のオーナーとなる「自社保有」をメインとした新規開設方法を採用しております。これは、外部オーナーの場合は開設までの進捗がオーナー次第になってしまう点や、昨今の建築原価高騰等を考慮した結果によるものです。
なお、2025年12月末時点において、当社グループ全体で「アンジェス」を計11棟自社保有しております(株式会社北山住宅販売が10棟、当社が1棟)。
上記のとおり、当社グループの事業はグループ内に、サービス付き高齢者向け住宅の設計・建築に特化した株式会社北山住宅販売を保有しており、当社グループで「土地取得」「設計・建築」「建物保有」「運営」をすべて内製化していることが、最大の特徴であります。
その他、利用者、オーナー、当社グループそれぞれの立場における特徴は、下記に記載のとおりです。a.利用者 株式会社北山住宅販売には、29室、または50室程度の同モデルのサービス付き高齢者向け住宅に特化した設計・建築ノウハウが蓄積されており、介護事業に適した建物を建てることが可能です。
これらのノウハウは1棟新たに増えるごとにさらに蓄積され、介護導線、食堂の配置、居室内の設備の配置等の改善という形で、利用者へ還元されております。「アンジェス」は、要介護2~3程度の特養入所待機者層をメイン利用者と想定し運営を行っております。
特養入所待機者層は、基本的に料金面でも制約のある中、株式会社北山住宅販売が建築した場合、運営開始から蓄積したノウハウを活かし建築請負金額を抑えることが可能です。
建物価格を抑えることで利用者が支払う家賃も低く抑えることができるため、利用者にとっては生活費の総額を抑え、介護支援などの必要な部分に資金を回すことができ、介護度が上がっても長く「アンジェス」で生活を送ることが可能となります。
「アンジェス」は、厚生年金受給者を対象とした価格帯を設定することで、最期まで生活できる場を提供しております。b.オーナー 株式会社北山住宅販売が建築する「アンジェス」シリーズは、木造寄宿舎扱いの建物であり相続税評価が低く見積もられることから、オーナーにとっては相続税対策に適しております。
建築の責任を担う株式会社北山住宅販売と同一グループである当社から一括で基本的に25年間の借上げを受けられることもオーナーの安心感につながっております。
また、現在、条件を満たすことで建築費の1割の補助金(スマートウェルネス住宅等推進事業:国土交通省)を受けることができますが、株式会社北山住宅販売が補助金申請代行を行うため、オーナーの事務的な負担はありません。
c.当社グループ 株式会社北山住宅販売では、サービス付き高齢者向け住宅建築に特化したノウハウを蓄積しており、同一規格も多いことから建築原価のコストダウンに繋がっております。
また、サービス付き高齢者向け住宅の新規開設には、行政へのサービス付き高齢者向け住宅の登録や補助金申請など、建築会社と介護会社が情報連携しながら行政対応を進める必要がある中で、二社間でこれまでにも多くの「アンジェス」を新規開設させてきたことから、連携してスムーズに案件を進めていくことが可能です。
② 看取りから自宅復帰まで対応するサービス付き高齢者向け住宅 サービス付き高齢者向け住宅の全国平均看取り率は38.2%に対し、当社の「アンジェス」シリーズの2025年12月期における看取り率は51.2%となっております(出典:サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会(国土交通省)第5回配布資料「サービス付き高齢者向け住宅の現状等」令和2年12月24日。
なお、当社の看取り率については同調査報告に記載の計算方法(※1)により算出)。
超高齢社会で独居高齢者が増え続ける我が国において、約5割強の方が「自宅で最期を迎えたい」と望んでいるにもかかわらず、自宅の環境と家族の受け入れ準備が整わず、結局7割近くが病院にて亡くなっているというデータもあります(出典:平成29年度 高齢者の健康に関する意識(内閣府)、令和元年人口動態調査(厚生労働省))。
そのような中、当社は利用者の第2の自宅として、最期まで生活できるような料金に設定しており、多くの利用者に看取りの場を提供しております。そのため、利用者の入居受入れ可能期間が長くなります。当社では、訪問診療の医師、訪問看護と連携することも可能です。
当社では、まずは利用者に生活の場として「アンジェス」に住んでもらう中で、最終的に本人や家族に看取りの場として選んでもらえるよう長い目で見た関係性を作っております。
また365日実施しているレクリエーション等により利用者のADL(※2)が向上し、自宅復帰率(※3)は6.6%(2021年12月期から2025年12月期の5期平均値実績)となっており、「アンジェス」での看取りと自宅に復帰することの両面から「自宅で最期を迎えたい」高齢者のニーズに応えております。
(※1) 看取り率は、「高齢期の居住の場とサービス付き高齢者向け住宅の現状に関する調査報告」に記載のとおり、「居室・一時介護室・健康管理室での看取り(人)」を「死亡による契約終了+病院・介護療養型医療施設等への転居(人)」で除した数値、と同じ考え方で算出しております。
(※2) ADLとは、「Activities of Daily Living」の略で、「日常生活動作」のことであり、起床から着替え、移動、食事、トイレ、入浴など日常的に発生する動作を指します。(※3) 自宅復帰率は、自宅復帰者数を総退去者数で除した数値となっております。
③ 各拠点に役割が異なる3つの事業部を配置 当社の各拠点では、施設管理部、訪問介護部、居宅介護支援部の3事業部の各担当者を配置し、各々が専任でそれぞれの目標とする経営指標(KPI)をもち、3事業部が相互に連携しております。
当社では、施設管理部には、収支・稼働率に責任をもつ経営者の視点と、利用者の家族の立場に立った視点を持つように指導しております。拠点経営を担う部門で、営業による入居者の確保、稼働率の維持・向上と円滑な施設運営に責任を持ちます。訪問介護部には、利用者の立場に立った介護を提供することを求めております。
訪問介護部は、介護サービスの質・人件費率に責任を持ち、スタッフ教育や日々のサービス提供を担っております。居宅介護支援部には、専門職としてのケアマネージャーの視点に立ち、看取りに至るまでのケアプランの作成と、ケアプランの作成業務を通じて、入居者の生活の質の向上を図ることを求めております。
これら3事業部が当社における理念のもとに連携しながら各々の業務を実施していくことで、利用者へのサービス提供と経営の安定化を図っております。
2023年以降の新規開設拠点では、大型拠点の場合は訪問看護も併設しており、上記3つの事業・観点に加え、医療・看護の視点も加わることで、さらに利用者への複合的、専門的な視点から支援を提供する体制となっております。
④ 自社営業部隊の配置 当社は、施設管理部という自社の営業部隊を保有しており、原則1拠点につき1名配置しております(同一地区にある拠点は1名が兼務することもあります)。
これにより、当社では利用者の獲得に際し、紹介会社等を使うことがなく、紹介手数料等の1利用者あたりの獲得コストがかからない運用となっております。また、自社営業部隊が直接営業を行い、地域で信頼を獲得していくことにより、中長期的な視点を見据えた事業運営を行っております。
当社の営業担当者は、ケアマネージャーや病院のソーシャルワーカーへの定期訪問により、入居者の生活情報をフィードバックする等の情報提供を行っております。
要介護の高齢者が住宅・施設に入居する場合、どのようなブランド名の住宅・施設か、よりも、どのような施設長・スタッフに介護されるかが、入居検討者の大きな関心事となっており、人と人による関わりが重視される傾向にあります。
当社では、自社の営業担当者を置き、直接、紹介元のケアマネージャー、病院のソーシャルワーカーに営業し、関係性を築くことで、その後も繰り返し入居者を紹介してもらいやすく稼働率が安定しております。
当社の開設後1年以上経過した全拠点の平均稼働率は96.5%(第16期連結会計年度末時点)と、早期立ち上げに加え、満室に近い状態を維持しております。
第14期連結会計年度末 (2023年12月31日) 第15期連結会計年度末 (2024年12月31日) 第16期連結会計年度末 (2025年12月31日) 居室数 (室) 稼働率(%) 居室数 (室) 稼働率(%) 居室数 (室) 稼働率(%) うち開設 1年以上 うち開設 1年以上 うち開設 1年以上 1,009 (※2) 94.3 94.1 1,045 (※3) 95.8 96.2 1,124 (※4) 96.5 96.5 (※1)「稼働率」を次のとおり定義しております。
稼働率=(介護居室賃貸借契約数÷総提供可能介護居室数) (※2)アンジェス彦根河瀬の医療居室20室を居室数から除外 (※3)アンジェス彦根河瀬の医療居室20室、アンジェス宇都宮砥上の医療居室20室、計40室を居室数から除外 (※4)アンジェス彦根河瀬の医療居室20室、アンジェス宇都宮砥上の医療居室26室、アンジェス八王子の医療居室20室、アンジェス宇都宮御幸本町の医療居室20室、計86室を居室数から除外。
アンジェス宇都宮砥上は、医療居室のニーズが強く、2025年度中に介護居室6室を医療居室へと転換し、室数が増加しております。
また当社は、次項で記載している「ドミナント戦略」により、複数の拠点を含む1エリアに対して、1名の外回り担当者の配置でも商圏全体をカバーできる体制とすることで、営業効率の向上を図っております。
⑤ ドミナント戦略 当社は、新たな都道府県にて事業進出後、その周辺に複数拠点を開設するドミナント戦略をとっており、当該戦略により、以下の点が可能になると考えております。
a.入居者確保 近隣に複数の拠点があることで、1エリアに1名の外回り担当者の配置でも、複数拠点をカバーして営業活動を行うこともでき、効率的に入居者を確保することが可能です。また、1つの拠点が満室でも近隣拠点を紹介することが可能となります。
b.人材確保 現在、介護業界において、人材確保は大きな課題となっておりますが、当社は、ドミナント展開を行うことで、同一エリアの拠点間で人員の融通を行うことを可能とし、課題に対処しております。
ドミナント展開を行うと、拠点を新規開設する際に、近隣の既存拠点から昇格人事により当社の事業運営のノウハウを持った管理者を立てることが可能となります。その結果、初期の教育期間を短縮できることに加え、当社の理念・価値観にあった人材を管理者として登用していくことができます。
また、急なスタッフ不足の際に、近隣拠点間又はエリア全体として介護スタッフの補充体制を取ることができ、スタッフ不足による利用者へのサービス中止という収益機会の逸失を防ぎます。また、これらスタッフの確保と管理者の育成が進むことで、さらに入居者を募集しやすくなると考えております。
⑥ キャリアプランによる人材育成 当社では、体系的なキャリアプランと部門横断的な異動の実現によってスタッフの能力に応じて育成・配置を行っております。
ドミナント展開を軸に、エリアで多店舗展開する当社の開設スタイルは、多くの人材に管理者ポジションを与えることを可能としており、従業員がキャリアプランを描きやすい事業運営を行っております。
当社には、訪問介護部、訪問看護部、居宅介護支援部で専門性を高めてスペシャリストを目指す「スペシャリストライン」と、施設管理部で、拠点経営者、エリアマネージャーと、経営を担っていく「経営者ライン」の2つのキャリアプランがあります。
部門をまたいでの異動も多々あり、元々介護職でありながら施設長やエリアマネージャーとして活躍する人材を増やすべく、人材発掘や、人材育成による内部昇格体制を構築しております。
⑦ 自社運営による直接的なブランド力の維持・強化 当社は、介護業界で業務を運営していくうえでは、コンプライアンスと教育が経営の根幹であると考えており、1棟の事故で全「アンジェス」ブランドが傷つくリスクもあることから、介護のクオリティを担保するため、自社運営であることを重視しております。
当社では、自社で雇用したスタッフに対して、入社時の理念研修と毎年行う理念研修、マネジメント研修を実施することで、当社の運営方針についてスタッフへ浸透を図っております。
⑧ 厚生年金受給額を考慮した料金設定 令和7年度の厚生年金の平均受給額232,784円(厚生労働省が規定する、モデル世帯の年金受給額)に対して、「アンジェス」シリーズの毎月の生活費は1人108,000円から(※)(食費の月額59,616円を除いた金額)と、ほぼ年金の範囲内で無理のない生活を送ることができることを目指しております。
(※) 当社の料金は2025年12月現在。サービス付き高齢者向け住宅では上記月額利用料の他に、訪問介護や訪問看護を利用した場合はサービス利用に係る自己負担分の費用が発生します。また、利用者によっては、生活支援サービスの有料オプションサービスを利用される場合もあります。
⑨ 介護保険に依存しない売上バランス 当社の介護事業における売上(※)は、第16期連結会計年度において、サービス付き高齢者向け住宅による家賃収入が20.2%、生活支援関連収入が24.3%、介護保険関連収入が55.5%と、相対的に介護保険収入の割合は高いものの、介護保険収入とその他収入の割合が約半分と均等な収入バランスとなっております。
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」の「(2)介護保険法の改正について」にも記載のとおり、介護保険法改正は当社においてリスクであることから収入の分散化を推し進めており、また、2023年より訪問看護事業を再開し、診療報酬売上の計上も可能となったことから、更なる分散化を進めてまいります。
(※) 当社の介護事業における売上は、サービス付き高齢者向け住宅による家賃収入として家賃と共益費を、生活支援関連収入として生活支援サービス費、生活支援サービスオプション及び食費を、介護保険関連収入として訪問介護サービス収入、訪問看護サービス収入及び居宅介護支援収入を計上しております。
なお、訪問看護サービス収入には、医療保険収入2億62百万円も含まれております。これらのうち、入居者・利用者からの介護保険(訪問介護、訪問看護)収入は介護保険自己負担1~3割分の他に、各都道府県の国民健康保険団体連合会からの居宅介護支援売上の10割分と、訪問介護売上7~9割分によって成り立っております。
介護保険収入は、単位×地域単価で計算されます。単位は、全国一律であり厚生労働省が定めます。地域単価とは、人件費の地域差を調整するために設けられた地域ごとの単価であり、1単位10円を基本とし、8つに区分されております。
当社が事業を展開する地域では、10円、10.21円、10.42円、10.70円、10.84円、11.05円の6区分が該当します。[事業系統図] (注)介護保険(訪問介護)収入の中には、訪問看護収入(介護保険収入、医療保険収入)も含まれております。
株価チャートは以下の外部サービスでご確認ください。
※ EDINET(金融庁 電子開示システム)の有価証券報告書をもとに作成
27.1/ 100
※ EDINET(金融庁 電子開示システム)の有価証券報告書・四半期報告書をもとに作成
| 指標 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 損益 | ||||||
| 売上高企業の本業での収入の合計 | 29億 | 34億 ↑16.0% | 41億 ↑20.6% | 43億 ↑3.7% | 47億 ↑10.7% | 49億 ↑3.8% |
| 営業利益本業で稼いだ利益。売上高から原価と販管費を引いたもの | 8,902万 | 2億 ↑93.5% | 2億 ↑12.3% | 1億 ↓42.9% | 1億 ↑20.2% | 4,068万 ↓69.4% |
| 経常利益営業利益に金融収支等を加えた、通常の事業活動による利益 | 1億 | 2億 ↑39.5% | 2億 ↑31.4% | 2億 ↓21.9% | 2億 ↓9.8% | 1億 ↓20.2% |
| 純利益税金や特別損益を差し引いた最終的な利益。株主に帰属する利益 | 1億 | 1億 ↑34.9% | 2億 ↑14.1% | 1億 ↓19.6% | 1億 ↓10.2% | 8,197万 ↓28.0% |
| 収益性 | ||||||
| EPS1株あたり純利益。純利益÷発行済株式数で算出。高いほど収益力が高い | 83.3円 | 94.2円 ↑13.1% | 103.1円 ↑9.5% | 82.9円 ↓19.6% | 75.2円 ↓9.3% | 54.0円 ↓28.2% |
| ROE自己資本利益率。株主の出資金でどれだけ利益を生んだかの指標。8%以上が目安 | 54.90% | 23.70% ↓56.8% | 15.70% ↓33.8% | 11.10% ↓29.3% | 9.10% ↓18.0% | 6.00% ↓34.1% |
| ROA総資産利益率。全資産を使ってどれだけ利益を出したかの指標。5%以上が目安 | 4.97% | 4.79% ↓3.6% | 5.20% ↑8.6% | 3.09% ↓40.6% | 2.37% ↓23.3% | 1.41% ↓40.5% |
| 営業利益率売上高に対する営業利益の割合。本業の収益力を示し、10%以上なら優良 | 3.04% | 5.07% ↑66.8% | 4.72% ↓6.9% | 2.60% ↓44.9% | 2.82% ↑8.5% | 0.83% ↓70.6% |
| キャッシュフロー | ||||||
| 営業CF本業から実際に入ってきた現金。プラスが大きいほど稼ぐ力が強い | 1億 | 5億 ↑270.1% | 8億 ↑75.8% | 2億 ↓70.7% | 3億 ↑27.8% | 3億 ↓5.7% |
| 投資CF設備投資や企業買収等に使った現金。成長企業は通常マイナスが大きい | -7,458万 | -5億 ↓602.0% | -5億 ↑2.5% | -8億 ↓63.8% | -11億 ↓31.9% | -10億 ↑8.7% |
| 財務CF借入・返済・配当金支払い等による現金の動き | -5,664万 | 5億 ↑1023.5% | -9,011万 ↓117.2% | 9億 ↑1090.4% | 5億 ↓38.9% | 8億 ↑41.3% |
| フリーCF企業が自由に使えるお金。営業CF+投資CFで算出。配当や成長投資の原資 | 5,031万 | -6,135万 ↓221.9% | 3億 ↑592.3% | -6億 ↓298.0% | -8億 ↓33.5% | -7億 ↑9.8% |
| 財務 | ||||||
| 総資産企業が保有する全ての資産(現金・設備・投資等)の合計 | 21億 | 29億 ↑40.0% | 30億 ↑5.2% | 41億 ↑35.1% | 48億 ↑17.3% | 58億 ↑21.0% |
| 自己資本返済不要な資本。株主からの出資金と利益の蓄積で構成される | 2億 | 9億 ↑290.7% | 11億 ↑17.0% | 12億 ↑9.9% | 13億 ↑10.0% | 14億 ↑7.9% |
| 自己資本比率総資産に占める自己資本の割合。高いほど財務が安定。40%以上が目安 | 11.50% | 32.20% ↑180.0% | 35.80% ↑11.2% | 29.10% ↓18.7% | 27.30% ↓6.2% | 24.40% ↓10.6% |
| 配当 | ||||||
| 一株配当1株あたりの年間配当金額。株主への利益還元額 | - | - | - | - | - | - |
| 配当性向純利益のうち配当に回す割合。30〜50%が健全な目安。高すぎると持続性に懸念 | - | - | - | - | - | - |
※ EDINET(金融庁 電子開示システム)の有価証券報告書をもとに作成
総合スコアは5軸(安定性・成長性・配当力・割安度・財務健全性)をそれぞれ100点満点で評価し、加重平均で算出します。
※ 各軸100点満点。データ不足の場合は該当項目が0点になります。